ミヅキ討魔伝～五芒を継ぐもの～

現実の空間や実在の人、動作などを、三次元のデジタルデータとしてまるごと記録するボリュメトリック撮影と、リアルタイムレンダリング技術による実写とCGを融合した自由視点の劇場型エンターテインメント。VRならではの迫力や臨場感、没入感が体感でき、ストーリーの流れに合わせた動的な場面展開が演出される。本作は陰陽師の少女ミヅキと宿敵・人狩り天狗との戦いを描いた剣劇であり、圧倒的な力と幻術を操る天狗に対し、ミヅキは日本刀で応戦する。ボリュメトリック撮影は次世代の撮影手法として注目を集めており、本作はそのような最新の技術を生かすべく、新設した専用スタジオにて撮影された。

日本の映像作品ではVFX、CGI、あるいはVRやMR的な表現が、なかなか馴染まない印象がある。それは必ずしも技術力の低さが理由ではない。超現実的なビジュアルで何を表現するかにおいて日本人は独特の感性を持ち、諸外国の技術をそのまま応用しても上滑りするのだ。この作品はチャンバラ殺陣のような、いい意味で荒唐無稽な日本のエンタメに腰を据え、やはり日本人好みの、派手な発光エフェクトを効かせた演出でVRエンタメを楽しませる。これぞ日本の行くべき方向性ではと個人的にも感嘆し、新人賞に推させていただいた。（さやわか）