第19回 マンガ部門 優秀賞
Non-working City
HO Tingfung
作品概要
台北市のどこかにあると噂される架空の都市「Non-working City」を描いたマンガである。そこは仕事も競争もない、自足したパラダイスで、すべてが信じられないほど美しい。毎月決められた人数だけその都市に入ることができるが、正確な入口を把握している者はいない。そんな「Non-working City」に、借金に苦しむカップルが期せずして入り込む。彼らはそこで、運動エネルギーを都市を機能させる電気エネルギーに変換できるエクササイズ・マシンなどを目にし、仕事だけがサバイバルの方法ではないことに気づかされる。「Non-working City」の風景は、「桃源郷」の由来となった中国の散文作品『桃花源記』の描写を参考にしながら、現実の台北市と仮想都市が結びつけられて描かれている。本作では、機械化時代の到来以来、人々が夢見続けてきた「労働のない社会」が描かれる。機械的な都市、資金分配の不平等性、現代の社会的権力構造に光をあてた作品である。
贈賞理由