第15回 アート部門 新人賞
SENSELESS DRAWING BOT
インタラクティブアート
菅野 創 / 山口 崇洋
作品概要
二重振り子のカオス性をもった動きを利用し、スプレーを用いて抽象的なラインを描画するドローイングマシン。電動スケートボードが左右に運動することによって、振り子の振れ幅を増幅させ、運動量がある閾値を超えると、瞬く間に壁面へ描画を行う。「グラフィティ」のタギング行為における人間の身体や主張を排除し、描画プロセスのダイナミズムや即興性、記号性といった要素のみを提示することで、その行為の本質を探る。
贈賞理由
グラフィティの本質を探るドローイングマシンこのグラフィティアーティストには、肩ひじ張った主張や作為はない。あるのは純粋に描こうとする行為のみである。しかしながら、このアーティストは人間でもないのに、極めて感覚的だ。一見してカオティックに描かれる規則性は、人間の腰の動きと肩を軸とした腕の動きを統合した運動と同様の、二重振り子の運動によって作り出されている。グラフィティアーティストにとって、この極限のダンスこそが理想であり、社会の壁にぶつける肉体的メッセージでもある。それでも彼は人間ではない。しかしながら、審査委員たちには、ここで描かれ表現されているグラフィティから情動を感じざるを得なかった。人間と同スケールのグラフィティーを描き出すこの寡黙なアーティストにエールを送りたい。