第11回 アート部門 奨励賞
Super Smile
映像
Effie WU [ドイツ]
作品概要
作者自身がカメラに笑顔を向けたまま、自身の部屋を案内する。鑑賞者は、全編を通して笑顔のままで、まばたきもしない作者と向き合うこととなり、映像から目が離せなくなる。カメラと対象者の関係性を問う映像作品。
贈賞理由
画面に目が釘づけになった。5分間近く一瞬たりともまばたきをせず我々を見つめる彼女の微笑には魂が奪われたように立ちすくむしかない。
鍛え抜かれたパフォーマンス? あるいはデジタル合成技術か?
しかしながらそんなことを議論するよりも、この作品が内包している多くのテーマに注目したい。この映像は作者自らが演じているのだが、見るものを不安にさせる奇妙な空気がつくられている。それは彼女がヨーロッパでのアジア人に対する眼差し、女性であること、コミュニケーションの問題、等を確信的に表現の武器として観客にナイフのように突きつけているからである。深い思慮をうながす怪作といえる。