©︎ Haida Koukou

第24回 マンガ部門 新人賞

スインギンドラゴンタイガーブギ

灰⽥ ⾼鴻[日本]

作品概要

太平洋戦争の最中、富山が空襲された夜に、ジャズを愛する姉・衣音子がベーシスト小田島龍治の演奏で踊る姿を見た諏訪於兎。戦後、姉は入水を図り救出されるも呆けてしまい、小田島は姿を消す。女学生となった於兎は、姉のベースを背負い、姉と小田島を再会させるために上京。姉から教わった歌唱を、偶然出会ったバンド一座に認められ、米軍のキャンプで演奏をすることとなる。やがて於兎は、バンドのベーシストが探していた小田島であることを知るが、彼は記憶をなくしていた。戦後日本、黎明期の芸能界に飛び込んだ一人の少女を主人公に、スリリングな人間模様や、日本とアメリカ双方の人々が抱える悩みや野望を、情熱的な筆致で描く。

贈賞理由

特別新鮮な絵柄ではないし、ストーリーもオーソドックスなのだが、審査が終わって個人的に続刊を購入したのはこの作品だけだった。何がそうさせたかというと、このマンガからは音がして、こちらの体に響くのである。その体験を「もっと!」と思った。それは、時代背景や人物描写がしっかりしているということのうえに成り立っているのだが、何より描き手の体と心に「音」が流れており、それに読み手は感応してしまうのだと思う。マンガ表現の、奥行きの深さを体感する快作である。(西 炯子)