© 松本大洋 / 永福一成 / 小学館

第11回 マンガ部門 優秀賞

竹光侍

ストーリーマンガ

松本 大洋 / 永福 一成(作) [日本]

作品概要

江戸のかたぎ長屋にある日現れた、謎の浪人、瀬能宗一郎。腰に敢えて竹光を差し、安逸な日々。だが、彼の剣と素性が魔を呼び込む。

贈賞理由

まず、表紙絵のすばらしさに魅了される。引き込まれるようにページをめくり期待通りのコマ運びに誘い込まれて我を忘れて読みふける。マンガをよく知った作者がマンガをよく知った読者のために描いた作品といえる。最もこれはこの作品に惚れ込んだ私個人が感じたことではある。マンガは“コマの芸術”である。綿密に計算され尽くしたコマ運びかどうかはわからないが、そのモンタージュが、登場するそれぞれのキャラクターの活き活きとした生活感を余すことなく描ききっている。また、マンガには欠かせない要素であるエンターテインメント性もさり気なく取り入れていて良質だ。藤沢周平の一連の時代小説を思わせる。この作者ならそのマンガ化も可能かもしれないと期待を抱かせる。