第21回 功労賞

竹内 オサム

マンガ研究者/同志社大学教授/マンガ家

プロフィール

1951年、大阪府生まれ。本名、竹内長武。大阪教育大学に入学後、マンガ研究を志す。卒業論文のテーマは「『鉄腕アトム』におけるアトム像の変遷」。75年同大学の大学院に進学、修士論文「手塚マンガにおける映画的手法の研究」で修士号を取得。日本で本格的なマンガ研究の分野を興そうと、80年に研究誌『児童漫画研究』を創刊、のちの『ビランジ』までその意志を引き継ぐ。大阪国際大学をへて現在同志社大学社会学部教授。大学では児童文化とマンガの研究に従事、とりわけ手塚治虫マンガの研究をメインとする。著書に『手塚治虫論』(平凡社、1992)、『戦後マンガ50年史』(筑摩書房、1995)、『手塚治虫ーアーチストになるな』(ミネルヴァ書房、2008)、『マンガ表現学入門』(筑摩書房、2005)など。編集・監修に『マンガ批評大系』(平凡社、1989)、『マンガ文化 55のキーワード』(ミネルヴァ書房、2016)、『マンガ・アニメ文献目録(』日外アソシエーツ、2014)などがある。1997年にマンガと児童文化の評論研究誌『ビランジ』を創刊し現在41号に至る。また、手塚治虫に名づけてもらった「おさ・たけし」なるペンネームでマンガ作品も発表している。

贈賞理由

ここでは挙げられない多くの評論、マンガ研究書を上梓されているので検索していただきたい。しかもそこではほとんど触れられていないが、発表の場を持たない数多くの「マンガ・児童文化研究家」らに門戸を開いた自費出版同人誌『ビランジ』を20年以上前から「送料の負担のみで配布」という奇特な作業を、現在41号まで発行し続けている功績を称えたい。この『ビランジ』寄稿者から例えば丸山昭『トキワ荘実録』、橋本一郎『鉄腕アトムの歌が聞こえる』などの名著が世に出たのである。竹内オサム氏の「陰の功労」こそ本「功労賞」にふさわしい。(みなもと 太郎)