© Tempt1, Ev

第14回 アート部門 優秀賞

The EyeWriter

インタラクティブアート

Zach LIEBERMAN / Evan ROTH /James POWDERLY / Theo WATSON / Chris SUGRUE / Tony TEMPT1

作品概要

ALS(筋萎縮性側索硬化症)で体が麻痺したグラフィティアーティスト、TEMPT1が「再び絵を描けるように」という願いをきっかけに始まったプロジェクト。アーティストや技術者を中心とした、多くの参加者により、目の動きだけで絵が描ける装置が共同開発された。安価なアイ・トラッキング装置と専用ソフトウェアの開発に成功し、オープンソースとして公開されている。

贈賞理由

ストリートという現実世界への、新たな身体性の獲得
Free Art and Technology(FAT)、OpenFrameworksの開発者、Graffiti Research Lab、The Ebeling Group communitiesがコラボレーションして制作した作品。病気で体が麻痺してしまったグラフィティアーティストで活動家のTempt1のための、眼球の動きだけでモニター上や、屋外のビル壁面にグラフィティが描けるアイ・トラッキング・システムである。
この作品の持つ評価軸は、人間味あふれる物語性もさることながら、パソコンの創造的な機能を、ストリートという「外」へと発展させていることだ。身体性をただシミュレーションするのではなく、現実世界の中にもう一度入れ込み、新たな身体性や共同体を再生させようという戦略性は実に野心的だ。オープンソースである本システムが、今後多くの人々に使われる可能性にも期待したい。