サウンドデザイン:Matthias KISPERT|写真:James MEDCRAFT|アニメーション・アシスタント:Kieran FINCH/Cai MATTHEWS|プログラム:Mauritius SEEGER /Evan BOHEM|技術協力:Patrick HEARN|プロデューサー:Beccy MCCRAY
©Davide Quayola’s (courtesy of the artist)
Created from Peter Paul Rubens, The Ecstasy of Mary

第16回 アート部門 新人賞

Strata #4

メディアインスタレーション

Quayola

作品概要

フランス第2の絵画コレクションを所有するリール市立美術館からの委託で製作された、マルチチャンネルの没入型ビデオ・インスタレーションである。主題となったのはフランドル・コレクションの聖像画、とりわけルーベンスとヴァン・ダイクによる壮麗な教会絵画だ。『Strata #4』は、これらの絵画自体を研究し、探究した成果である。各絵画の表面に現われている形象を掘り下げ、構図や色彩、比率の背後にある、規則そのものに注目したのだ。この作品は、美と完全性についての普遍的規則に基づく、現代の新たなイメージを生み出そうとするプロセスにほかならない。

贈賞理由

ルーベンスやヴァン・ダイクといったバロック期のフランドルの絵画に手を加えることで、その絵画が持つ新たな側面、可能性を探る意欲的佳作。
技術的な側面も抑制が効いていて、より効果を上げていると感じる。特にCGで合成された3D映像の光や色の扱いが繊細で、作家の感性が隅々まで行き届いていると感じられ、インスタレーションにおいても現実の展示と映像のなかの光の関係などがよく整理されている。
平面の絵画作品から3DのCGが発生し、それによって「色」が絵画の意味性から剥がされ、明暗のあるさまざまな「色」の立体に変化することで、「色」という性質について考えさせられる素晴らしい作品。