© 吉田秋生 / 小学館

第11回 マンガ部門 優秀賞

海街diary

ストーリーマンガ

吉田 秋生 [日本]

作品概要

古都・鎌倉を舞台に、家族の喪失と再生をテーマとしたヒューマンドラマ。三姉妹に突然訪れた父の死や、会ったこともなかった義理の妹との出会いなどを通じて、家族の「絆(きずな)」を細やかに描いた作品。

贈賞理由

作品の完成度の高さでは異論のない選考だった。 鎌倉を舞台にした、ひとつの「家族」をめぐる連作。幼い頃家を出て行った父が亡くなり、その葬儀に出かけていった三姉妹は、母親の違う妹を引き取って一緒に暮すことになる。それぞれに積み重ねてきた時間とそれぞれの関係性。「家族」というもののもつ重層性がみごとに、しかも的確に描き出されていて、その上手さに唸らされる。とりわけ会話の描き方が絶妙。思わずはっとさせられるセリフがそこここにあり、ちょっとしたことから一瞬にして本質を見抜く鮮やかさがある。状況によって自然に大人びてしまった子ども(=妹)に再び子どもの時間を取り戻させてやろうとする姉たち。少女マンガの底力を感じさせる作品である。