第18回 功労賞

山本 圭吾

アーティスト/教育者

プロフィール

1936年生まれ。福井県在住。68年よりビデオアートを始め、71年よりコンピュータ、サウンド、通信の融合による異文化の出合いの新芸術ネットワークアートを世界に先駆けて開拓。約半世紀にわたり活動。また第13回サンパウロ・ビエンナーレ、ドクメンタ6、モントリオール現代美術館の「ビデオ‘84」、ケルンの「ビデオ彫刻25周年記念展」、北京の「科学+芸術展」などの国際展に日本代表として招待出品。また、93年ベネチア・ビエンナーレ(アペルト)では風の音の交信など、高く評価される。更に、77年「日独ビデオアート展」、85年より「ふくい国際ビデオ・ビエンナーレ」、90年より「World Wide Network Art」など、毎年新しい視点の企画展を開催。この幅広い活動により次世代に多大な刺激を与え、多くの後継者を育てた。更に小、中、高、短大、大学、大学院、博士課程と奉職し、教育技術にも系統的創造性があり、各分野に多くの人材を輩出。他に類をみない教育者でもある。88年より武蔵野美術大学教授、2000年より京都精華大学教授、同大学映像メディア研究所所長も務めた。

贈賞理由

ビデオアートや環境芸術をいち早く実践した前衛芸術家である。1985年から出身地、福井で手掛けたビデオアート国際展「ふくい国際ビデオ・ビエンナーレ」は先駆的で、日本と海外をアートで結ぶ画期的な役割を果たした。メディア系のアーティストや評論家として現在活動している世代には、山本圭吾氏から多くを学び、刺激を受けた者が多数いる。メディアアートの後継者を育て、幅広い教育を介して次世代への橋渡しを務めたと同時に、地域への文化的貢献度も大きい。現在でも独自のネットワークの仕事を展開し、地方都市を拠点に先端的メディアの可能性を追求し続けている。(岡部 あおみ)