募集期間
2018.8.1(水) - 10.5(金)
主催
文化庁メディア芸術祭実行委員会
会長
宮田 亮平(文化庁長官)
運営委員
建畠 晢(多摩美術大学長)
古川 タク(アニメーション作家)
開催日程
2019.6.1(土) - 16(日)
贈呈式
2019.3.1(金)
会場
日本科学未来館
フジテレビ湾岸スタジオ
東京国際交流館
BMW GROUP Tokyo Bay
シンボルプロムナード公園 他
共催
東京都港湾局
東京臨海副都心まちづくり協議会
入場料
無料
協力
日本科学未来館
日本学生支援機構 東京国際交流館
ビー・エム・ダブリュー株式会社
東京港埠頭株式会社
協賛事業
仙台短編映画祭2018-ミライの足音といつかのフィルム-仙台短篇映画祭実行委員会
RED BULL MUSIC FESTIVAL TOKYO 2019『花紅柳緑』花紅柳緑@浜離宮恩賜庭園
第21回文化庁メディア芸術祭受賞作品上映長崎県美術館
審査委員
森山 朋絵(メディアアートキュレーター/東京都現代美術館学芸員)
秋庭 史典(美学者/名古屋大学准教授)
阿部 一直(キュレーター/アートプロデューサー)
池上 高志(複雑系科学研究者/東京大学大学院総合文化研究科教授)
ゲオアグ・トレメル(アーティスト/研究者)
遠藤 雅伸(ゲームクリエイター/東京工芸大学教授)
川田 十夢(開発者/AR三兄弟長男)
齋藤 精一(株式会社ライゾマティクス代表取締役/クリエイティブディレクター)
佐藤 直樹(アートディレクター/多摩美術大学教授)
中川 大地(評論家/編集者)
横田 正夫(医学博士/博士[心理学]/日本大学教授)
宇田 鋼之介(アニメーション監督・演出)
木船 徳光(アニメーション作家/IKIF+代表/東京造形大学教授)
西久保 瑞穂(映像ディレクター)
森野 和馬(映像作家/CGアーティスト)
みなもと 太郎(漫画家/マンガ研究家)
表 智之(北九州市漫画ミュージアム専門研究員)
川原 和子(マンガエッセイスト)
白井 弓子(マンガ家)
西 炯子(マンガ家)
選考委員
金澤 韻(インディペンデント・キュレーター/十和田市現代美術館学芸統括)
田所 淳(クリエイティブ・コーダ―)
渡邉 朋也(美術家/タレント)
伊村 靖子(情報科学芸術大学院大学講師)
藤川 悠(茅ヶ崎市美術館学芸員)
水野 勝仁(甲南女子大学文学部メディア表現学科講師)
おぎの ひとし(マンガ家/東京工芸大学助教)
倉持 佳代子(京都精華大学国際マンガ研究センター研究員)
小田切 博(フリーライター)
西原 麻里(愛知学泉大学講師)
松田 尚正(マンガ家/京都造形芸術大学講師)
三浦 知志(マンガ研究者)(マンガ研究者)
建畠 晢
多摩美術大学長
文化庁メディア芸術祭は今年で22回目を迎える。アート部門に、エンターテインメント、アニメーション、マンガという日本ならではの発信力、求心力のある3つの部門を加えたほかに類例のないコンクール展として、年々、海外からも注目されるようになってきたといってよい。今回も過去最多の102の国と地域から応募があったことは、主催者側の一人としてもうれしい驚きである。先鋭な実験的作品と今という時代を反映したポピュラリティーのある試みの双方を評価する姿勢が、ジャンルを問わず、さまざまな地域の表現者たちの関心を呼んでいるのであろう。 今回のエンターテインメント部門の大賞に『チコちゃんに叱られる!』の制作チームが選ばれたことは、その意味でも興味深い。これまでにも映画の『シン・ゴジラ』や『君の名は。』などの大メジャーが受賞したことがあったが、『チコちゃん』の場合は作品賞というよりは企画賞であって、決め台詞が流行語になるような時代感覚を捉えるユーモラスな発想の妙が支持されたのである。居間に入り込むテレビにCG合成をシンクロさせるという、制作する側のメディア・リテラシーの成熟(それは見る側のリテラシーの成熟でもあるが)は、この芸術祭の意図するところでもある。アート部門の大賞作品(古舘 健)は青函連絡船メモリアルシップ八甲田丸の内部の荒々しい空間に光の明滅と機械的なサウンドとを同期させるという大掛かりな設備によるインスタレーションで、場所を形成する音響と光のダイナミックな力に魅せられた。アニメ部門はフランス(Boris LABBÉ)、マンガ部門は韓国(Boichi)と海外から大賞が出たのもまた、両ジャンルのグローバルな成熟というべきか。
古川 タク
アニメーション作家
ある年、ヨーロッパの映画祭のディレクターがたまたま、文化庁メディア芸術祭の受賞作品展を見たことがあった。感想をたずねると「ちょっとサイエンスアートすぎる、トゥーマッチだ!」と肩をすくめた。この時何か違和感を感じた。確かにそうでなくてもテクノロジーが目立つ東京の街にきて、美術館までこれかと思ったのかもしれない。しかし、『子供の科学』という雑誌が関東大震災(1923)の直後にできた国だ。僕らは戦後何も無い時期に少年雑誌の付録に付いていた、粗悪なボール紙を組み上げて望遠鏡や幻灯機をドキドキしながらつくったし、マンガのロボットが子どもたちと仲良くするのに何の疑い もなかったし、やがてはポスト・ヒューマンのアニメが登場しても、親しみ楽しんできた。SFも科学もおもしろがってきた。そんなことの延長線上にこの芸術祭を置いてみると案外しっくりくる。さて今年の受賞作品をざっと眺めてみても、その多様性に驚いてしまう。アート部門のメディアインスタレーションのなかには電気を使わず人の動きに反応する『watage』のような作品もあって、これにはすっかり感心してしまった。一本取られた。それにしてもマンガの多様性には毎度のことながら驚く。もはや描かれていない世界は無いのではないか? 審査委員のみなもと太郎さんが発した一言がいつまでも耳に残る。「マンガは本を開いた瞬間、どこでもドアですからね。」