第8回 アート部門 講評
【作品カテゴリ別講評】インタラクティブアート
インタラクティブアートというカテゴリーが広範囲であると再認識させられる優秀な作品が多かった。以下の推薦作品もそのわずかな差をどう評価するかに焦点が絞られた。『Ex-isles』は、操作は単純な動きだが、作品は美術市場に売買可能な完成度があり、これもこの分野の最近のひとつの傾向だろう。『////furminator』は、高度な技術が凝縮されたゲームマシンを装った外枠とは逆説的に内部はアナログ仕様のピンボールマシンである。『Light Attack』は、車を移動させながら都市に人影を投影し、地域における社会性を走査していく。『Sky Ear』は携帯電話を膨大な数のヘリウム風船に設置し、色彩と音の変化が空高く浮かび上がる。日本人の若い世代の優れた作品も多く、点字そのものを表現した『音点字』、自我を追求した『through the looking glass』、そして、優秀賞を受賞した『GLOBAL BEARING』がある。我々が概念的に理解している「地球」を感覚的にインタラクションしていくこの作品は、インターフェイスの加速度の可変が実存する身体と共感していく点が評価された。
プロフィール
三上 晴子
アーティスト/多摩美術大学助教授
1961年生まれ。アーティスト。多摩美術大学メディア芸術コース教授。84年から情報社会と身体をテーマとした大規模なインスタレーション作品を発表。90年代から現在まで、視覚、聴覚、重力などの知覚によるインターフェースを中心としたインタラクティブインスタレーションを発表し続け、その作品は毎回、海外10カ国以上を巡回展示している。