第10回 アート部門 講評
【作品カテゴリ別講評】インタラクティブアート・その他
本年度の応募作品は「技術力」と「作家表現」のバランスがうまくとれているものが多かった印象がある。『OLE CoordinateSystem』はゲームソフト的なツールに終わらず作家の意思が明確に現れる「動く絵画」、『×マンvibration』は装着する体験者を鑑賞するだけでイマジネーションが刺激される「動く彫刻」とみることができる。『Drawn』『素数ホッケー』などの子ども向け教育ソフト的な作品もハイセンスな表現力でまとめられている。高度なデジタル技術を「ユーモア」というエッセンスでやさしく美的にアナログ化する。それが今日的なメディアアートの方程式かもしれない。
プロフィール
ヤノベケンジ
美術作家
1965年大阪府生まれ。大阪万博跡地近郊で育ちその「未来の廃墟」像をモチーフに作品を作りつづけている。放射線感知服『アトムスーツ』を身にまとい、チェルノブイリを訪れるなど、ユーモラスな形態に社会性のある強いメッセージを込めた作品群は国内だけでなく海外からの評価も高い。2003年「メガロマニア」(国立国際美術館)、2004年「子供都市計画」(金沢21世紀美術館)、2005年「キンダガルテン」(豊田市美術館)、2006年「縄文と現代」(青森県立美術館)ほか。