受賞作品フェスティバル・プラットフォーム賞Festival Platform Award
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Path of Noise (r, theta, phi)
アプリケーションプログラム作品
Paul LACROIX[フランス]
粒子の一つひとつが、人生の偶然性、つまり一緒に生まれては離れ、また一緒になるという混沌とした道筋を表現している。また、桜の花は、見る人の心に幸福感や安らぎを与える。タイトルにある「r, theta, phi(アール、シータ、ファイ)」は、球面環境における点座標の表現方法を指している。球形状のスクリーンが持つおもしろさは、始まりも終わりもない境界のなさである。ジェネラティブアートである本作は、リアルタイムに描画され、その都度異なる色やパターンをもたらす。
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Path of Noise (r, theta, phi)
アプリケーションプログラム作品
Paul LACROIX[フランス]
粒子の一つひとつが、人生の偶然性、つまり一緒に生まれては離れ、また一緒になるという混沌とした道筋を表現している。また、桜の花は、見る人の心に幸福感や安らぎを与える。タイトルにある「r, theta, phi(アール、シータ、ファイ)」は、球面環境における点座標の表現方法を指している。球形状のスクリーンが持つおもしろさは、始まりも終わりもない境界のなさである。ジェネラティブアートである本作は、リアルタイムに描画され、その都度異なる色やパターンをもたらす。
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親愛なるウイルスたちへ
映像作品
王 俊捷[中国]
ウイルスに対して厳しいまなざしが向けられる昨今だが、人間とウイルスは古くから切っても切れない関係にある。本作品は、そんなウイルスというひとつの生命と共存する願いを込めた手紙である。真っ白い空間で、植物が芽吹いては散っていくなか、「体の中に何かいる」というナレーションとともに現れるのが、変幻自在に形を変える青い物体。それが青い牛へと変化して歩みを進めた後に一転、背景は黒に変わり、遺伝子や樹木を思わせるらせん状のモチーフが画面中を駆け巡っていく。白と黒の空間に現れる限られたオブジェクト、淡々としたナレーション、ピアノを基調とした静謐ながらも焦燥感を覚えさせる音楽、主題を明確にした作品タイトル、これらの要素で人間とウイルスの関係を詩的に表現した。真珠のような光沢のあるアクリルパール板に絵の具を用いて描かれた360°アニメーションだが、VR環境だけでなく平面の画面での鑑賞でも作品の持つ神秘性を感じられる。
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親愛なるウイルスたちへ
映像作品
王 俊捷[中国]
ウイルスに対して厳しいまなざしが向けられる昨今だが、人間とウイルスは古くから切っても切れない関係にある。本作品は、そんなウイルスというひとつの生命と共存する願いを込めた手紙である。真っ白い空間で、植物が芽吹いては散っていくなか、「体の中に何かいる」というナレーションとともに現れるのが、変幻自在に形を変える青い物体。それが青い牛へと変化して歩みを進めた後に一転、背景は黒に変わり、遺伝子や樹木を思わせるらせん状のモチーフが画面中を駆け巡っていく。白と黒の空間に現れる限られたオブジェクト、淡々としたナレーション、ピアノを基調とした静謐ながらも焦燥感を覚えさせる音楽、主題を明確にした作品タイトル、これらの要素で人間とウイルスの関係を詩的に表現した。真珠のような光沢のあるアクリルパール板に絵の具を用いて描かれた360°アニメーションだが、VR環境だけでなく平面の画面での鑑賞でも作品の持つ神秘性を感じられる。
審査講評
- 米澤 香子表現の枠を拡張する テクノロジー第23回より新設されたフェスティバル・プラットフォーム賞は今回で3回目になりました。プラットフォームを限定している点、また映像コンセプトが規定されている点がメディア芸術祭のほかの賞と違ってユニークな点です。
本年度のテーマは「新しい世界の共有 ~世界のいまを映す~」。持続可能な未来へ向けて動きはじめた世界の「いま」をリアルに映し出すことにより、世界と「わたし」とのつながりが身近に感じられるような、そんな作品を募集しました。
応募総数は昨年度比で増えてはいるものの、昨年から引き続きのコロナ禍によって、どこかの場所に出向いて複数の人と一緒に何かを眺めるといった機会も残念ながら激減したままです。その影響か、残念ながら応募作品もパーソナルスクリーンでも見られるような平面の映像作品をそのまま流用した応募も多かった印象です。
そのなかでも受賞に至った2作品は、設備・施設の特性の生かし方の提案がなされていて、またテーマ性も応募要項と合致しており、作家独自の「世界」の捉え方が魅力的に表現されていました。
ジオ・コスモスは球体ディスプレイで、横から見たり下から見上げたり、さまざまな接し方ができるユニークなプラットフォームです。受 賞した『Path of Noise (r, theta, phi)』は、その特性を十分に捉えどこから見ても美しい映像で、人と人のつながりや別れをよく表現していました。
ドームシアターは、全天球映像で鑑賞者を包み込むような迫力を届けることができるプラットフォームです。受賞した『親愛なるウイルスたちへ』は、アナログなペインティングをデジタル空間に構築して、温かい感情を掻き立てることに成功していました。ドームシアター用に再構築される際、視線誘導などにどのような工夫が生まれるかが楽しみです。ジオ・コスモスやドームシアターといった新しいプラットフォームは、まだまだ使い方が開拓しつくされていないと感じます。今後もどんどん意欲的な作品が生まれることを期待しています。