第9回 マンガ部門 優秀賞
晩夏
自主制作
せきね ゆき [日本]
贈賞理由
作品の余白の広さに空気を感じる。そこに生じる空気の色、香り、すなわちそれぞれの読者の心象に湧き起こるイマジネーションを、余白が邪魔しないように配慮されている。作品のテーマである「大切なものとの別れ」に伴う不条理感の切なさ。ヒトが直面しなければならない普遍的な不条理感を、作者は「彼岸花」によって象徴させる。「彼岸花」と名づけられた花は固定した物語をもたされているが、作者には「だから―」と先に進んでほしい。先にもひろがるであろう余白のなかに、諦観を越えた強くてやさしい応援歌の景色を見てみたい。