第8回 アニメーション部門 優秀賞
ACIDMAN short film「彩-SAI-(前編) / 廻る、巡る、その核へ」
短編アニメーション
西郡 勲 [日本]
贈賞理由
プロモーションビデオに代表される、音楽に追従する映像は言い換えれば音楽に依存している傾向にある。映像が生まなければならないリズムやビートを音楽と符合させることのみに終始した、答え合わせのような映像になりがちである。ところが、この作品は主従の二元化で論じることがナンセンスに思える程に一体化している。あまりにも音楽的な映像、とでも言おうか。その筆致が力強いリズムを刻み、時として映像に合わせた音楽のように錯覚するほどだ。また、その表現は CG抜きでは語れないがCGさえあればできるものではない。絵画を立体に置き換えて表現するアプローチも決して目新しいわけではないが、そのアレンジ、セットアップは、一朝一夕では得られないセンスで裏打ちされて高い完成度を獲得している。肉体や体温すら感じさせる次元に達した表現に、正直、心震えた。