第16回 アニメーション部門 新人賞
布団
短編アニメーション
水尻 自子
作品概要
布団のなかに入る。頭に浮かぶ記憶、想像する此の先、思い起こす感触、染みついた性、何もかも一緒に気持ちよくとろけていく。布団のなかで身体が感覚を求めて彷徨う……。紙に作画し、それをトレーシングペーパーを通して画面に取り込むことでやわらかい質感を作り出している。動きと感覚の連鎖をテーマにした作品。
贈賞理由
『布団』は繊細にしておおらかな作品である。ヌケヌケと、とか、アッケラカンとした、とかいう言葉が似合ってしまうところがある。フェティッシュというと和田淳作品を想起させるが、実はまるで似ていない。かといって無神経に落書きされた身体の一部分ではない。水尻自子の描くシンプルな線画はかなり吟味されたうえで形を作っているのであろう。あーだこ-だ、布団のなかで身体が感覚を求めて彷徨うように白紙の上を右往左往したあげくに決まった線画が、力強く空間を切り取っていく。そしてアニメーションとなってゆったりと時間を紡いでいく。今後の展開が楽しみな作家だ。