© 海老原 優

第12回 アート部門 奨励賞

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インスタレーション

海老原 優 [日本]

作品概要

人体のオブジェ、サウンド、映像によるインスタレーション。映像では皺のなかに浮かびあがる人の姿、あるいは通りすぎる人、波打ち際、ある老人のインタビューなどがシンプルな線描のアニメーションで描きだされる。一見脈絡なく配置されているようでいて、実はインスタレーションの間には、作者の人間に対するさまざまな関心のありようが示されている。

贈賞理由

本作品は東京藝術大学の修了制作展で発表された。束芋など日本の日常をシュールなタッチで描くアニメーションや、ウィリアム・ケントリッジ、フランシス・アリスなどのコンセプチュアルで、ポエティックな手描きアニメの要素を兼ね備えた作品である。人が往来する素朴な手描き感を残したリズミカルな線の画面と、街頭の老人のインタビューをアニメーションとして起こした温かみのある画面が異なった大きさで組みあわされたマルチプロジェクションのインスタレーションは、印象的で静かに感情に訴えてくる訴求力をもっている。