©︎ Sandrine Deumier + Myriam Bleau

フェスティバル・プラットフォーム賞
ドームシアター カテゴリー

L’alter-Monde

オーディオビジュアル作品

Sandrine DEUMIER / Myriam BLEAU[フランス/カナダ]

作品概要

人間と、再発見された自然との共生の可能性をテーマに掲げた、フルドーム形式の没入型オーディオビジュアル・プロジェクト。エコソフィ(環境哲学)、および種族間の相利共生の観点から、自分たち人間は、突然変異した自然、植物化した環境、あるいはヒト以外の生物と、いかにして共鳴しうるのかを問いかける。いくつものシーンで構成された映像は、機械的なものと生物的なものが融合されたサイバネティックス(人工頭脳学)的な庭を想起させる。そこでは、互いに身を寄せ合った人々が、電子部品にも、植物、あるいは動物や昆虫にも見える無数の線に抱かれ、繋がりながら漂っている。非人間的かつ超自然的なバイオ・センシティビティ(生物学的感受性)を探究する本作は、見る者の世界観に変化をもたらすような没入型の体験を提供しながら、気候変動や種の絶滅という現代の重要な問題を鑑賞者に投げかける。

贈賞理由

人と自然が融合してできた、植物のような生命体が蠢くモノトーンの世界。ビジュアルが非常に独特なことに加えてサウンドの完成度が高く、ドームという環境の中で見た際に素 晴らしい没入体験ができるのではないかと審査委員一同が感じ、高評価した作品。今回、ドーム的な360°体験は設計できているけれど映像的な魅力が弱かったり、映像としては魅力的だけどドームという環境を生かし切れていない応募作品がたくさん見受けられた気がする。そのなかで、この作品は映像的魅力とドーム体験としてのおもしろさの両方を兼ね備えており、完成した際には新しい映像体験ができるのではと期待している。(川村 真司)