受賞作品フェスティバル・プラットフォーム賞Festival Platform Award
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ちぎる
映像作品
秋山 智哉[日本]
「ちぎり絵」によって展開していくストップモーション・アニメーション。「ちぎる」という言葉には、細かく切り離す「千切る」と約束を結ぶ「契る」の相反する2つの意味がある。新型コロナウイルス感染症の拡大によって人との距離が広がり、人種差別、性差別といった問題も浮き彫りになった昨今。そんな「千切る」ともいえる状態を、球形の世界地図が切り離されていくさまを通して表現した。しかしその後は、ちぎられた紙片によってモチーフが形づくられ展開していく。紙片たちは離れつつある人々の輪を描くも、やがては再生されていく地球の姿を映し出す。ちぎられた紙をつなぎ合わせていく、ちぎり絵の制作過程をも作品のメッセージの一部として昇華させた。2つの「ちぎる」を、ちぎり絵とストップモーション・アニメーションというアナログな手法を用いて表した作品。
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ちぎる
映像作品
秋山 智哉[日本]
「ちぎり絵」によって展開していくストップモーション・アニメーション。「ちぎる」という言葉には、細かく切り離す「千切る」と約束を結ぶ「契る」の相反する2つの意味がある。新型コロナウイルス感染症の拡大によって人との距離が広がり、人種差別、性差別といった問題も浮き彫りになった昨今。そんな「千切る」ともいえる状態を、球形の世界地図が切り離されていくさまを通して表現した。しかしその後は、ちぎられた紙片によってモチーフが形づくられ展開していく。紙片たちは離れつつある人々の輪を描くも、やがては再生されていく地球の姿を映し出す。ちぎられた紙をつなぎ合わせていく、ちぎり絵の制作過程をも作品のメッセージの一部として昇華させた。2つの「ちぎる」を、ちぎり絵とストップモーション・アニメーションというアナログな手法を用いて表した作品。
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L’alter-Monde
オーディオビジュアル作品
Sandrine DEUMIER / Myriam BLEAU[フランス/カナダ]
人間と、再発見された自然との共生の可能性をテーマに掲げた、フルドーム形式の没入型オーディオビジュアル・プロジェクト。エコソフィ(環境哲学)、および種族間の相利共生の観点から、自分たち人間は、突然変異した自然、植物化した環境、あるいはヒト以外の生物と、いかにして共鳴しうるのかを問いかける。いくつものシーンで構成された映像は、機械的なものと生物的なものが融合されたサイバネティックス(人工頭脳学)的な庭を想起させる。そこでは、互いに身を寄せ合った人々が、電子部品にも、植物、あるいは動物や昆虫にも見える無数の線に抱かれ、繋がりながら漂っている。非人間的かつ超自然的なバイオ・センシティビティ(生物学的感受性)を探究する本作は、見る者の世界観に変化をもたらすような没入型の体験を提供しながら、気候変動や種の絶滅という現代の重要な問題を鑑賞者に投げかける。
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L’alter-Monde
オーディオビジュアル作品
Sandrine DEUMIER / Myriam BLEAU[フランス/カナダ]
人間と、再発見された自然との共生の可能性をテーマに掲げた、フルドーム形式の没入型オーディオビジュアル・プロジェクト。エコソフィ(環境哲学)、および種族間の相利共生の観点から、自分たち人間は、突然変異した自然、植物化した環境、あるいはヒト以外の生物と、いかにして共鳴しうるのかを問いかける。いくつものシーンで構成された映像は、機械的なものと生物的なものが融合されたサイバネティックス(人工頭脳学)的な庭を想起させる。そこでは、互いに身を寄せ合った人々が、電子部品にも、植物、あるいは動物や昆虫にも見える無数の線に抱かれ、繋がりながら漂っている。非人間的かつ超自然的なバイオ・センシティビティ(生物学的感受性)を探究する本作は、見る者の世界観に変化をもたらすような没入型の体験を提供しながら、気候変動や種の絶滅という現代の重要な問題を鑑賞者に投げかける。
審査講評
- 水口 哲也世界が、天から降ってくる。そんな未曾有の体験を求めて。2020年は、全世界が新型コロナウイルスの脅威にさらされるなか、全世界34カ国から、過去最多の114作品がエントリーし、大変、白熱した審査となりました。具体的な内訳を記しておくと、ジオ・コスモス カテゴリーが41作品(前年22作品)、ドームシアター カテゴリーが73作品(前年24作品)と、前年比2倍から3倍といった応募数で、やはり近年は、全天球映像のようなフォーマットの表現が、昔に比べて一般的になってきたのだな、という印象と、世界中の多くのクリエイターが、このフォーマットでの新しい表現を模索したがっているのだな、という兆候を感じる年となりました。ジオ・コスモス カテゴリーにおいては、近年、デジタル系の表現が数多く集まるなかで、今年は、アナログ的な、人間の手触り感が感じられるような作品が多かったのが印象的です。このカテゴリーでの受賞作『ちぎる』も、そのひとつです。人がちぎった紙を、さまざまな色と触感のコラージュで、球体表面にアニメーションを展開していく作品に、多くの審査委員の心が動かされました。この1年、非接触や人との距離を求められることが多いなか、人との触れ合いや温もりを感じる本作品に、多くの人が共感し、癒され、心動かされるかもしれません。ドームシアター カテゴリーにおいても、さまざまなアイデアと技術で、さまざまな表現を模索した多くの作品がエントリーし、音楽と映像の融合表現、ストーリーテリング、ライブパフォーマンスなど、挑戦的なクリエイティブ表現が数多くありました。また今年は、これまで応募が少なかった中東、南米、東欧、アフリカなどから、多くのアイデアが寄せられたのが印象的です。今年の受賞作となった『L'alter Monde』をはじめ、広範囲の視野とともに、細部に至るまでの精巧で高解像度の世界がドーム全体に行き渡り、音楽とともに天から降ってくるような錯覚に襲われるような体験は、このカテゴリー独特の醍醐味だと言えます。