©︎ Waka Hirako

第24回 マンガ部門 新人賞

マイ・ブロークン・マリコ

平庫 ワカ[日本]

作品概要

口も態度も悪いOLのシイノは、昼休みに定⾷屋で親友・マリコの突然の⾃殺を知る。マリコが両親から虐待されていた過去を知る彼女は、せめてこれから自分にできることを考え、彼女の遺⾻をマリコの実家から盗み出すことを決意した。強奪した遺⾻を抱え、シイノは最初で最後の彼女との旅に出る。まったく異なる性格ながら、ともに孤独を知る2人の魂の結びつきを描く切ない友愛の物語。虐待を受けて育ったマリコのどこか壊れた不安定さや、そんな彼女を時に苛立たしく思いつつも寄り添ってきたシイノがその死に直面して激しく揺れ動く⼼情が、スピード感のある作画により強いリアリティを持って迫ってくる。卓抜した表現⼒が光るデビュー作。

贈賞理由

ジェットコースターどころかドラッグレースを見ているような疾走感。あっという間に目の前を駆け抜ける躍動感あふれるマンガ。審査委員の全員が思ったことである。突っ込みどころを見逃してしまうほどのスピード。この作者はどこへ行くのだろうか? 本人も前は見えてないかもしれない。前は見えなくともただ前に走るだけ。アクセルべた踏みで。その行きつく先はどこ? シイノ、マリコ、釣り人のマキオ、この3人、個体は分かれているものの一人の感情の分身のように思える。どれも本当の自分、作者。クラッシュ、ガス欠気にせず走れ!!(倉田 よしみ)