第11回 マンガ部門 優秀賞
鈴木先生
ストーリーマンガ
武富 健治 [日本]
作品概要
生徒の引き起こす問題に対して、ひたすら苦悩する若き中学校教師・鈴木先生。どこにでもいそうな平凡な教師が、どこでも起こりえる問題について、過剰に悩みつつも、解決していこうとする姿をリアルに描いた作品。
贈賞理由
『鈴木先生』を読んだ時、小学校生の子をもつ親として最初に受けた印象は、「えー、これが今の中学校? 行かせたくないな」というものだった。それほど『鈴木先生』で描かれる教室は、見るものを不安にさせる。TVなどの「先生ドラマ」にあるお約束の和解や成長など、そこにはなく、子どもは惑い、教師も悩み、時には生徒以上に弱く、醜い。このマンガがどの程度、マンガ用に現実をデフォルメしているのかわからない。しかし、教育現場のあり方が重要な問題になっている今、キレイゴトでない「教室の物語」は時代にとって必要なドラマにちがいない。鈴木先生には申しわけないが、上手な結末など用意せずに、マンガの中の教室で、いつまでも悩んでいてほしい、と思う。