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第10回 アニメーション部門 大賞

時をかける少女

劇場アニメーション

細田 守[日本]

作品概要

同名のSF小説をアニメーション化した作品であるが、先行する同名の実写作品(大林宣彦監督)とはテイストの異なる青春映画となっている。弾ける青春のキラメキをアニメーションの力を駆使して描き出した作品。

贈賞理由

みごとである。アニメーションの枠を超え、人の心を動かす映像作品だ。原作の要素を分解したうえで現在の空気感に合わせて再構成する大胆さと、誰もが抱く本能的心情を重層的に配置して丁寧に描き切る細心さ。物語と語り口の前にアニメーションとしての技術論は無意味だが、アニメーション以外にこれ以上的確に表現する方法があるだろうか? さまざまな技術があふれる現在、動かせない「画」はない。決して潤沢とはいえない条件の中で「画」のみに頼ることなく、確かな立脚点と揺るぎなき視線で「演出」された作品が生まれたことを喜びたい。