募集期間
2020.7.1(水) - 9.4(金)
主催
文化庁メディア芸術祭実行委員会
会長
都倉 俊一(文化庁長官)
運営委員
建畠 晢(多摩美術大学長)
古川 タク(アニメーション作家)
開催日程
2021.9.23(木) - 10.3(日)
贈呈式
2020.9.22(火)
会場
日本科学未来館
サテライト会場
CINEMA Chupki TABATA, パナソニックセンター東京, スパイラルホール, 池袋HUMAXシネマズ, 分身ロボットカフェDAWN ver.β
入場料
無料
協力
CINEMA Chupki TABATA
EIZO株式会社
インテル株式会社
株式会社サードウェーブ
株式会社デビッドワッツ
株式会社ビームス
株式会社ヒューマックスシネマ
株式会社ユニットコム
株式会社ワコールアートセンター
大日本印刷株式会社
デル・テクノロジーズ株式会社
日本科学未来館
パナソニック株式会社(パナソニックセンター東京)
富士通クライアントコンピューティング株式会社
分身ロボットカフェDAWN ver.β
協賛事業
Bunkamura × MAPP_ 「PLAYTIME」(Bunkamura)
Différence de nature – 本性の差異 – (Studio tune)
TIGER & BUNNY 10th Anniversary in GINZAMITSUKOSHI -Limited Collaboration(株式会社三越伊勢丹)
インター・カレッジ・アニメーション・フェスティバル[ICAF](インター・カレッジ・アニメーション・フェスティバル実行委員会)
劇場アニメ映画『漁港の肉子ちゃん』(吉本興業株式会社、アスミック・エース株式会社)
ソウゾウするちから ーオンライン劇場誕生までー(パナソニック株式会社)
東京2020 NIPPONフェスティバル「ONE-Our New Episode- Presented by Japan Airlines」Our Glorious Future 〜KANAGAWA 2021〜カガヤク ミライ ガ ミエル カナガワ 2021(神奈川県、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会)
審査委員
秋庭 史典(美学者/名古屋大学准教授)
池上 高志(複雑系科学研究者/ 東京大学大学院総合文化研究科教授)
ゲオアグ・トレメル(アーティスト/研究者)
田坂 博子(東京都写真美術館学芸員)
八谷 和彦(アーティスト/東京藝術大学准教授)
川田 十夢(開発者/AR三兄弟 長男)
さやわか(ライター/物語評論家)
時田 貴司(ゲームクリエイター/株式会社スクウェア・エニックスプロデューサー)
長谷川 愛(アーティスト)
森本 千絵(コミュニケーションディレクター/アートディレクター)
佐藤 竜雄(アニメーション監督・演出・脚本家)
大山 慶(プロデューサー/株式会社カーフ代表取締役)
小原 秀一(アニメーション監督/アニメーター)
須川 亜紀子(横浜国立大学大学院都市イノベーション研究院都市文化系教授)
水﨑 淳平(アニメーションディレクター/神風動画代表取締役)
表 智之(北九州市漫画ミュージアム専門研究員)
川原 和子(マンガエッセイスト)
倉田 よしみ(マンガ家/大手前大学教授)
島本 和彦(マンガ家/株式会社アイビック代表取締役社長)
西 炯子(マンガ家)
川村 真司(Whatever Inc. クリエイティブディレクター/ CCO)
水口 哲也(エンハンス代表/シナスタジアラボ主宰/慶応義塾大学大学院(Keio Media Design)特任教授)
水谷 仁美(株式会社リコーSV 事業本部 THETA 事業部 Sales & Marketing)
選考委員
伊村 靖子(情報科学芸術大学院大学准教授)
岡 瑞起(筑波大学システム情報系准教授)
高尾 俊介(甲南女子大学文学部メディア表現学科講師)
萩原 俊矢(Webデザイナー/プログラマ)
平川 紀道(アーティスト)
平原 真(大阪芸術大学芸術学部アートサイエンス学科准教授)
明貫 紘子(キュレーター/研究者)
やんツー(美術家)
指吸 保子(NTTインターコミュニケーション・センター[ICC] 学芸員)
伊藤 遊(京都精華大学准教授)
猪俣 紀子(茨城大学准教授)
小田切 博(フリーライター)
菅野 博之(マンガ家/神戸芸術工科大学教授)
久保 直子(比治山大学短期大学部美術科専任講師)
玉川 博章(メディア研究者)
豊田 夢太郎(漫画編集者)
長池 一美(大分大学国際教育研究推進機構教授)
日高 利泰(マンガ研究者)
建畠 晢
多摩美術大学長
文化庁メディア芸術祭は今年で22回目を迎える。アート部門に、エンターテインメント、アニメーション、マンガという日本ならではの発信力、求心力のある3つの部門を加えたほかに類例のないコンクール展として、年々、海外からも注目されるようになってきたといってよい。今回も過去最多の102の国と地域から応募があったことは、主催者側の一人としてもうれしい驚きである。先鋭な実験的作品と今という時代を反映したポピュラリティーのある試みの双方を評価する姿勢が、ジャンルを問わず、さまざまな地域の表現者たちの関心を呼んでいるのであろう。 今回のエンターテインメント部門の大賞に『チコちゃんに叱られる!』の制作チームが選ばれたことは、その意味でも興味深い。これまでにも映画の『シン・ゴジラ』や『君の名は。』などの大メジャーが受賞したことがあったが、『チコちゃん』の場合は作品賞というよりは企画賞であって、決め台詞が流行語になるような時代感覚を捉えるユーモラスな発想の妙が支持されたのである。居間に入り込むテレビにCG合成をシンクロさせるという、制作する側のメディア・リテラシーの成熟(それは見る側のリテラシーの成熟でもあるが)は、この芸術祭の意図するところでもある。アート部門の大賞作品(古舘 健)は青函連絡船メモリアルシップ八甲田丸の内部の荒々しい空間に光の明滅と機械的なサウンドとを同期させるという大掛かりな設備によるインスタレーションで、場所を形成する音響と光のダイナミックな力に魅せられた。アニメ部門はフランス(Boris LABBÉ)、マンガ部門は韓国(Boichi)と海外から大賞が出たのもまた、両ジャンルのグローバルな成熟というべきか。
古川 タク
アニメーション作家
ある年、ヨーロッパの映画祭のディレクターがたまたま、文化庁メディア芸術祭の受賞作品展を見たことがあった。感想をたずねると「ちょっとサイエンスアートすぎる、トゥーマッチだ!」と肩をすくめた。この時何か違和感を感じた。確かにそうでなくてもテクノロジーが目立つ東京の街にきて、美術館までこれかと思ったのかもしれない。しかし、『子供の科学』という雑誌が関東大震災(1923)の直後にできた国だ。僕らは戦後何も無い時期に少年雑誌の付録に付いていた、粗悪なボール紙を組み上げて望遠鏡や幻灯機をドキドキしながらつくったし、マンガのロボットが子どもたちと仲良くするのに何の疑い もなかったし、やがてはポスト・ヒューマンのアニメが登場しても、親しみ楽しんできた。SFも科学もおもしろがってきた。そんなことの延長線上にこの芸術祭を置いてみると案外しっくりくる。さて今年の受賞作品をざっと眺めてみても、その多様性に驚いてしまう。アート部門のメディアインスタレーションのなかには電気を使わず人の動きに反応する『watage』のような作品もあって、これにはすっかり感心してしまった。一本取られた。それにしてもマンガの多様性には毎度のことながら驚く。もはや描かれていない世界は無いのではないか? 審査委員のみなもと太郎さんが発した一言がいつまでも耳に残る。「マンガは本を開いた瞬間、どこでもドアですからね。」