11回 受賞作品エンターテインメント部門Entertainment Division

審査講評

  • 福井 信蔵
    クリエイティブディレクター
    【作品カテゴリ別講評】ウェブ
    メディア芸術祭の審査にあたって僕が外せないと考える視座は、作品としての完成度はもちろんのこと、美意識の高さや、感性に直接訴えかけるコンセプトの存在。そして、わかりやすさも重要だ。さらに歴史の浅いウェブ部門の審査にあたっては、過去の作品を一段越えようという意識や、既成概念に挑戦し、打破しようという姿勢があるかどうかを僕は評価したい。僕はその取り組みが、人々に新しい経験を与えるところに帰着しているウェブ作品こそ、次を切り開いた価値ある作品だと考えるからだ。そうした視点からこの賞に値する作品が最終審査に残った。その中で、最も新鮮な印象と豊かなインタラクティブ体験を生み出した『DAYDREAM』が最も高い評価を得る結果となった。
  • 田中 秀幸
    【作品カテゴリ別講評】映像
    今回のエンターテインメント部門の審査のなかで、イノベーティブという部分がひとつの審査基準となっていたが、それは現代における革新的な映像表現とはいったい何なのかということを考えさせる選考会にもつながったと思う。新たな作品の価値を発見することができるのも、エンターテインメント作品として映像、ゲーム、ウェブサイト、玩具など、既成のジャンルを飛び越えた括りで審査していくメディア芸術祭ならではないだろうか。
  • 河津 秋敏
    ゲームデザイナー
    【作品カテゴリ別講評】ゲーム・遊具・キャラクター・その他
    ゲームは応募作品のどれもが完成度が高く、ゲームとしてのおもしろさも一定の水準を超えているものばかりであった。その点で、ゲーム文化の定着を感じさせた。一方で、よくできているがゆえに、作り手の個性が見えづらくなっているのも事実である。作品性と商品性の両立という難しい課題がプロの作り手には突きつけられている。遊具・キャラクター・その他には優秀賞がないという結果になった。新奇性や作者性において飛び抜けた物がなく、他のジャンルの作品に圧倒された感がある。ゲームはメーカーから、遊具・キャラクター・その他は個人・団体からの応募がほとんどとはっきり色分けされすぎている。応募の傾向が変わることを期待したい。
  • 水口 哲也
    革新的な表現や新しい創出による刺激に期待して
    2007年のエンターテインメント部門は、高解像度(ハイデフ)から携帯(ポータブル)、そして新しい入力装置を伴った新しいプラットフォームや、新しい映像表現、ウェブ、遊具、本に至るまで、広範囲に拡散しつつある数多くのエンターテインメント作品を「いかに革新的であるか」という視点で審査した。大賞作品である『Wii Sports』は、新しいコントローラの遊び方や楽しさを、日本のみならず、世界に広めた実績を高く評価した。その他の作品にも、革新的な映像表現を追及する作品や、ネットワーク機能を追求した新しい遊びの創出など、新たな進化樹形図の片鱗が見え隠れする年だったのではないかと思う。今後ますます、国境や世代を越えて、地球規模の文化を刺激するような、意欲的な作品の登場に期待したい。