受賞作品フェスティバル・プラットフォーム賞Festival Platform Award
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球小説
映像インスタレーション
YouYouYou [日本]
ジオ・コスモスに小説の文章を映し出すことで、VRなどの360度映像が周囲の風景を丸ごと記録しているのと同じように、シーンを丸ごと文字にして閉じ込める作品。ページは玉ねぎの皮のように「層」となっており、この層が剥がれることで、次のストーリーが現れる。読者は、球体の真下となる1階、横から見ることができる3階と5階の吹き抜けに面したスペース、ジオ・コスモスの側面をぐるりと巡るオーバルブリッジのそれぞれの場所から、小説を読むことができる。各ページには同時多発的に起こるさまざまな出来事が記されている。読者は任意の位置からストーリーを読み進めることができるが、巨大な球体に表示されるすべての文章を読むことはできず、小説の全体像を把握することはできない。球体を眺める複数の読者たちは、それぞれ別々の場所に立ち、別々の景色を想像しながらも、同じ時間、同じストーリーを共有する。
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球小説
映像インスタレーション
YouYouYou [日本]
ジオ・コスモスに小説の文章を映し出すことで、VRなどの360度映像が周囲の風景を丸ごと記録しているのと同じように、シーンを丸ごと文字にして閉じ込める作品。ページは玉ねぎの皮のように「層」となっており、この層が剥がれることで、次のストーリーが現れる。読者は、球体の真下となる1階、横から見ることができる3階と5階の吹き抜けに面したスペース、ジオ・コスモスの側面をぐるりと巡るオーバルブリッジのそれぞれの場所から、小説を読むことができる。各ページには同時多発的に起こるさまざまな出来事が記されている。読者は任意の位置からストーリーを読み進めることができるが、巨大な球体に表示されるすべての文章を読むことはできず、小説の全体像を把握することはできない。球体を眺める複数の読者たちは、それぞれ別々の場所に立ち、別々の景色を想像しながらも、同じ時間、同じストーリーを共有する。
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Starman
ミュージックビデオ
Tiff RANDOL / CEN Kelon / Thor FREUDENTHAL / YEN Shih-Lien [米国/中国/ドイツ,米国/台湾]
歌手・パフォーミングアーティストとして活躍するIAMEVE(アイアムイブ)によってつくられた、フルドーム短編映像。歌手自身が扮するイブと、そのソウルメイト、スターマンが多元的な世界で互いを求め合い再会する物語を、魅惑的な映像で描く。舞台となる宇宙空間に現れる地平線や丘、木などの要素は、ボディペインターのマイケル・ロズナーによるペイントを全身に施したイブ自身の体で構成されている。人体によって表現された風景はグリーンバックで撮影され、アニメーションを合成。のびやかなボーカルパートに、耳から体内へと染み込んでいくような広がりのある音が重ねられている。本作は、IAMEVEがメディアを超えて展開するサイエンスファンタジープロジェクト「The Everything Nothing」の一部でもあり、創造、分裂した自己、そして物質的存在の超越をテーマにしている。
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Starman
ミュージックビデオ
Tiff RANDOL / CEN Kelon / Thor FREUDENTHAL / YEN Shih-Lien [米国/中国/ドイツ,米国/台湾]
歌手・パフォーミングアーティストとして活躍するIAMEVE(アイアムイブ)によってつくられた、フルドーム短編映像。歌手自身が扮するイブと、そのソウルメイト、スターマンが多元的な世界で互いを求め合い再会する物語を、魅惑的な映像で描く。舞台となる宇宙空間に現れる地平線や丘、木などの要素は、ボディペインターのマイケル・ロズナーによるペイントを全身に施したイブ自身の体で構成されている。人体によって表現された風景はグリーンバックで撮影され、アニメーションを合成。のびやかなボーカルパートに、耳から体内へと染み込んでいくような広がりのある音が重ねられている。本作は、IAMEVEがメディアを超えて展開するサイエンスファンタジープロジェクト「The Everything Nothing」の一部でもあり、創造、分裂した自己、そして物質的存在の超越をテーマにしている。
審査講評
- 川村 真司「そのメディアならでは」という評点をクリアすること今回が初めてとなるアワードということで、応募作品個々を評価していくと同時に、今後どういった広がり・成長をしていって欲しいアワードなのか、など幅広い議論をしながら審査をしました。蓋を開けてみると、海外からの応募が半数以上を占める、グローバルな発想が集まるアワードとなりました。言葉に依存するより、ノンバーバルなビジュアル・ナラティブを活用した作品が多かったように思います。ジオ・コスモスカテゴリーは、球面でみることに意味がある・よりおもしろくなるアイディアをいかに見つけられるかが評価軸になった気がします。表現的に美しくなりそうなアイディアも多かったなかで『球小説』が受賞した理由はまさにそこにあったと思います。表現的にはまだまだ詰めないといけない部分は多いアイディアですが、球体ならではの視聴体験という意味では、ほかにはない新たなインタラクションの可能性を提示している点が評価されました。一方のドームシアターカテゴリーは、球面よりも表現手法として一般化しているためか、ドームをちゃんと生かした没入感ある表現が多く集まっていたように思います。そこで、最終的には完成した時のビジュアルのクラフトや、サウンドも含めた体験のユニークさでの勝負になったように感じています。受賞した『Starman』は特に独特な世界観でありながら、没入体験を誘うような演出プランが上手に紡がれており、最も出来上がりが見てみたいと思わされる作品でした。双方のカテゴリーにエントリーされている作品が複数存在しており、そういった作品は結論からいうとあまり上位には残りませんでした。それは「新しいプラットフォームならではの映像作品」を評することを目的としたアワードとして当然の帰結かなと感じています。ドームとジオ・コスモスでは、映像が表出する形態がまったく違う、つまり視聴者の視点が全然違うので、双方で扱える表現という時点で「そのメディアならでは」という評点が下がってしまう結果になったのだと思います。次回以降はそういった観点で応募アイディアを見返して精緻化していけると、より良いプラットフォームアワードらしい作品が生まれるのではないかと感じました。