11回 受賞作品アニメーション部門Animation Division

審査講評

  • 野村 辰寿
    アニメーション作家
    【作品カテゴリ別講評】短編アニメーション
    国内外から、プロ、アマチュア(商業作品~自主制作)の垣根なく、2D、立体、3DCGなど、ありとあらゆるジャンルの短編アニメーション作品295本もの応募が寄せられた。応募数は、制作環境の普及に伴い年々増えている。その上クオリティもあがっている気がする。295本から苦渋の選択をさせてもらった21本の作品は、それぞれの「創意」において突出したものばかりである。非情にも狭き門ゆえ、短編からの入賞は2本となったが、『放課後MIDNIGHT』『蒲公英の姉』『放課後、エメラルド』『雲の人 雨の人』『THE CLOCKWORK CITY』は、入賞作品の決定ぎりぎりまで審査を熱くさせてくれた作品であったことを記しておきたい。
  • 幾原 邦彦
    アニメーション監督
    【作品カテゴリ別講評】劇場アニメーション・テレビアニメーション・OVA
    すべての放映作品がエントリーされているわけではないが、改めてテレビシリーズの本数に驚いた。企画は大別して「人気漫画を原作とした作品」と、昨今の時流なのだろう、いわゆる「秋葉原的メディアを原作とした作品」が多くを占めていたように感じた。別段「現場主導のオリジナル作品が少ない」と嘆いているわけではない。作品の良し悪しと、原作がある、無い、は別だ。しかし、入選の2作品『電脳コイル』『グレンラガン』は奇しくもオリジナルとなった。どちらも、製作者たちの「こういう作品をつくりたかった、観たかった」という熱意に満ちており、「長年温めていた企画」だろうと推測できた。そういった作品の選評に立ちあえたことはうれしかった。ただ、ひとつ気になったことがある。「秋葉原的メディア」は、若い現場スタッフにとっては、勝手知ったる我が家のはずだ。にも関わらず、それらの作品群から"異種融合的な新しい何か"が発信されているようには感じられなかった。それを"やっぱりね"と切り捨てるのは、もったいない気がする。あるいは選評するこちらの感性が鈍いのか古いのか。その部分に関しては次回以降のエントリー作品に注目したい。
  • 鈴木 伸一
    アニメーション監督
    説得力や必然性を備えた上質な作品への期待
    映像作品というものは観る人の知識と好み、思い入れなどにより評価が大きく左右されるものだが、毎年行なわれている文化庁メディア芸術祭では、その年の審査委員の構成にもよるが、数あるジャンルから順当な作品が選ばれていると思う。商業作品は巨額な資金が投入されるため、話題性や認知度でヒットに結びつける場合もあるが、この審査では作品の内容、クオリティが優先される。今年も芸術性、おもしろさ、内容の新しさ、作家の意気込み、将来性など諸々を考慮に入れての選考となった。見方の違いはあったが、今年も良い選出ができたと思っている。異論がある人や作品を見る機会がなかった方は、この結果をもとに、もう一度受賞作品を見てくださるとうれしい。