第12回 受賞作品アニメーション部門Animation Division
大賞
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つみきのいえ
短編アニメーション
加藤 久仁生 [日本]
水に囲まれつみきを積んだような部屋でひとりの老人が暮らしている。水没している階下にパイプを落とした彼は、それを拾うためにもぐり、それぞれの部屋に刻まれた家族の思い出にめぐりあう。いまはいない妻、娘、なつかしい人々の大切な記憶が静かなタッチで描かれ、純度の高い心にしみる作品となった。地球温暖化のテーマも秘められている。
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つみきのいえ
短編アニメーション
加藤 久仁生 [日本]
水に囲まれつみきを積んだような部屋でひとりの老人が暮らしている。水没している階下にパイプを落とした彼は、それを拾うためにもぐり、それぞれの部屋に刻まれた家族の思い出にめぐりあう。いまはいない妻、娘、なつかしい人々の大切な記憶が静かなタッチで描かれ、純度の高い心にしみる作品となった。地球温暖化のテーマも秘められている。
優秀賞
奨励賞
審査委員会推薦作品
王さまものがたり3
短編アニメーション
三角 芳子 [日本]
オーケストラ
短編アニメーション
奥田 昌輝/小川 雄太郎/大川原 亮 [日本]
劇場版 空の境界 俯瞰風景
劇場アニメーション
あおき えい [日本]
ギンガムチェックの小鳥
短編アニメーション
長井 勝見 [日本]
校長先生とクジラ
短編アニメーション
山村 浩二 [日本]
コルネリス
短編アニメーション
中田 彩郁 [日本]
コードギアス 反逆のルルーシュ R2
オリジナルビデオアニメーション(OVA)
谷口 悟朗 [日本]
鉄腕バーディー DECODE
オリジナルビデオアニメーション(OVA)
赤根 和樹 [日本]
さよなら絶望先生
オリジナルビデオアニメーション(OVA)
新房 昭之 [日本]
スカイ・クロラ The Sky Crawlers
劇場アニメーション
押井 守 [日本]
スケッチブック〜華屋八兵衛 ノ巻
短編アニメーション
竹内 僚平 [日本]
ヘルズ エンジェルス
オリジナルビデオアニメーション(OVA)
山川 吉樹 [日本]
ステファンの恩返し
オリジナルビデオアニメーション(OVA)
内藤 まろ/すずき ゆきひろ/青木 純/恵土 敦 [日本]
ソウルイーター
オリジナルビデオアニメーション(OVA)
五十嵐 卓哉(監督) [日本]
ストライクウィッチーズ
オリジナルビデオアニメーション(OVA)
高村 和宏 [日本]
ニャッキ! ふみきり
短編アニメーション
伊藤 有壱 [日本]
忠告
短編アニメーション
李 傑 [日本]
のらみみ
オリジナルビデオアニメーション(OVA)
湖山 禎崇 [日本]
東京マーブルチョコレート
オリジナルビデオアニメーション(OVA)
塩谷 直義 [日本]
パンク直し
短編アニメーション
岡本 将徳 [日本]
墓場鬼太郎
オリジナルビデオアニメーション(OVA)
©水木プロダクション・墓場鬼太郎製作委員会 [日本]
福来町、トンネル路地の男
短編アニメーション
岩井澤 健治 [日本]
みなみけ
オリジナルビデオアニメーション(OVA)
太田 雅彦 [日本]
BUILDINGS
短編アニメーション
上甲 トモヨシ [日本]
やさいのようせい第5話「ピアノがいなくなっちゃった」
オリジナルビデオアニメーション(OVA)
天野 喜孝 [日本]
DEVOUR DINNER
短編アニメーション
水江 未来 [日本]
CHRISTIAN BAUER-Tree of Life
短編アニメーション
橋本 ダイスケ [日本]
Omstart
短編アニメーション
Cornelius/辻川 幸一郎 [日本]
shift
短編アニメーション
八木 智子 [日本]
swimming
短編アニメーション
平山 志保 [日本]
Syscapes # Interlude
短編アニメーション
Eric SCHOCKMEL [ルクセンブルク]
審査講評
- 木船 園子アニメーション作家【作品カテゴリ別講評】短編アニメーションデジタル技術の成熟でプロもアマチュアも同じ土俵で戦える武器を手にし、アニメーションはバラエティに富んだ豊かさを呈している。短編として応募された223作品からは際立って強く熱く訴えかける作品はそれほど多くなく珠玉作22本がすんなりと選ばれたが、大賞・優秀賞3本・奨励賞を出すという驚きの結果となった。『つみきのいえ』は芸術性と心に響くテーマ性がみごとに融合した入魂作で審査員文句なし一致の大賞。卓越したCG技術で独創的な世界を構築した『KUDAN』。手づくり刺繍の温かさを感じさせる『DREAMS』。注目すべき多くの若い才能にも出会えた一方で哲学の視覚化に挑戦した『こどもの形而上学』、ほのぼのした世界を高い技術力で見せる『ニャッキ! ふみきり』『ギンガムチェックの小鳥』。これらアニメーションへの愛と執念とチャレンジ精神を持ちつづけるプロのクリエイターにもエールを贈りたいと思う。
- 幾原 邦彦アニメーション監督【作品カテゴリ別講評】長編(劇場公開・TV・OVA)最終審査の過程で、このジャンルからは「今年は受賞該当作品なし」という厳しい声もあったが、審査を終えて改めて気がついたことがある。『カイバ』『スカイ・クロラ』『ヘルズ エンジェルス』『ソウルイーター』『空の境界』『墓場鬼太郎』。驚くなかれ、これらの作品はすべて"彼岸"が舞台である。「死者と生者を分ける川辺」が2008年のキーワードだったようだ。「彼岸とは、我々が暮らすこの世界のことだ」、あるいは「生きているのか、死んでいるのかわからない」とでも言っているのか。「死を意識することは、生を感じること」とだれかが言っていた。いま、アニメはそこなのか?なかでも『空の境界』を選に入れるか否かで意見が分かれた。「新しい」と捉えるか、「過去作品の引用にすぎない」と見るか。喧々諤々、「次の機会まで判断を待とう」ということで今回は選を外した。どうやら"彼岸作品"の審査は、審査員まで彼岸に連れて行ったようでモヤモヤした気分が残った。
- 鈴木 伸一アニメーション監督今年の応募は総数346本。今年の特徴としては短編部門によいものが多く、それにくらべて長編部門は突出したものがなく、大賞も短編部門の『つみきのいえ』がすんなりと決まった。地球温暖化を巧みに取りこんだ不気味な静けさのなかに、ひとり家に住み続ける男、去っていった家族の思い出をしみじみ綴る味わい深い描写の優れた作品であった。優秀賞、奨励賞は議論をつくした上の決定であったが、やはり短編作品が多数を占めた。長編部門から優秀賞に選ばれた『カイバ』は、シュールな内容と新鮮な画面のOVAであり、どちらかといえば短編作品に近いテイストを持った作品といってもいいだろう。入賞はしなかったが短編作品のなかには優れたものが多かった。日本のテレビアニメの業界は経済的な問題で若い人が定着しにくい世界だと聞く。しかし、個人で活動する短編のアニメーション作家には、確実に若い人が増えていることを実感する年になった。