12回 受賞作品エンターテインメント部門Entertainment Division

大賞

優秀賞

奨励賞

審査委員会推薦作品

審査講評

  • 田中 秀幸
    【作品カテゴリ別講評】映像
    Web、ゲームなど、新たなメディアが技術的な進歩によって表現力を増していき、映像的な表現を取り込んでいくなかで、ゲームのオープニング映像やWeb上の映像表現などはますますハイクオリティー化していく傾向にあります。そんななか、CM、ミュージックビデオ、テレビ、アニメーションなど以前から映像表現を主体としてきたジャンルのクリエイターやスタッフの基本的な映像表現力のレベルの高さが逆に目立つ結果となったのではないかと思います。
    Webやゲームなどのジャンルのプロフェッショナルの委員の方々と映像の審査をしていくのは新たな目で映像作品を見ることができ、映像表現の新たな価値を考える機会になったのではないかと思います。今後の自分自身の作品制作の大きな参考にもさせていただきます。
  • 福井 信蔵
    クリエイティブディレクター
    【作品カテゴリ別講評】Web
    今年度の応募も、剪定されずに伸びきった盆栽のごとく、どの視点から見るべきかわからず、同時にどこから見ても何もないという作品が多かったのは残念である。コンセプトだけが立派だったり、ひとりよがりの表現に始終したり、単に最新技術に飛びついてみたり、一発芸を羅列したり。それを「これはメディア芸術です」と言われても困る。それらをふるい落とし、コンテンツ表現に優れたもの、独自性の高いもの、チャレンジがあり、美しく、楽しく、驚きのある秀逸な作品を選出して最終審査会で審議した。今年度は時代を反映してか、携帯を連動して新たなコミュニケーションを成立させようとする企画が多く見られたが、そうした複合型の作品群を凌駕して『FONTPARK 2.0』が優秀賞に選ばれた。"体験の質の高さ"が鍵となってこの作品が選出されたのは意味深い。また、今年度も企業の広告キャンペーンの応募が多かったが、なかでも環境意識を啓蒙する『driveeverydrop.com』と、そのCMの『Drop』は秀逸であった。結果的に賞に至らなかったが、映像とWeb両部門の最終審査で上位に残り、高く評価されたことをつけ加えておきたい。
  • 水口 哲也
    【作品カテゴリ別講評】ゲーム・遊具・キャラクター・その他
    今年の傾向は、ズバリ"身体性"。映像や音による表現美というよりも、触る、動かす、魅せる、というような作品が審査員たちの注目を集めた。これも時代の移ろいなのか、人間の本能や欲求の揺り返しなのか。電脳的になっていくメディアや表現が多いなかで、またさらに、次の時代の予感を楽しみにさせてくれそうな、そんな作品に恵まれたのではないかと思う。ゲーム部門の受賞が多かった昨年に比べて、今年は他のジャンルの存在感が増した。エンターテインメント部門の大賞を受賞した『TENORI-ON』がこの部門から選出されたことにも大きな意味がある。今後の文化庁メディア芸術祭の未来を考えると、何かの予兆を感じさせるおもしろい年となった。
  • 田中 秀幸
    【作品カテゴリ別講評】映像
    Web、ゲームなど、新たなメディアが技術的な進歩によって表現力を増していき、映像的な表現を取り込んでいくなかで、ゲームのオープニング映像やWeb上の映像表現などはますますハイクオリティー化していく傾向にあります。そんななか、CM、ミュージックビデオ、テレビ、アニメーションなど以前から映像表現を主体としてきたジャンルのクリエイターやスタッフの基本的な映像表現力のレベルの高さが逆に目立つ結果となったのではないかと思います。
    Webやゲームなどのジャンルのプロフェッショナルの委員の方々と映像の審査をしていくのは新たな目で映像作品を見ることができ、映像表現の新たな価値を考える機会になったのではないかと思います。今後の自分自身の作品制作の大きな参考にもさせていただきます。
  • 田中 秀幸
    この部門では、異なるメディアをプラットホームとする作品をひと括りに審査してきた。始めはどうやって審査をしていくのか正直なところ戸惑った。しかしいざ審査をしてみると、ごった煮状態の審査が反対に既存のジャンルのなかの理論だけで評価するのでは見えてこなかった評価の方向を見せてくれたように感じている。
    技術の進歩によって、かつてないほどの変化があらゆるエンターテインメント作品に起こっている時代のなかで、制作者は"新たな作品と人との関係"という新しい課題を与えられているように感じられる。今回大賞に選ばれた『TENORI-ON』はその作品としてのすばらしさや楽しさは当然のことながら、プロジェクト自体が象徴的で革新的であり、また、このプロダクトを使って新たな作品が生まれる可能性までもが作品のなかに含まれている。ほかの受賞作品も同じように表現のおもしろさにとどまらない何かを持っているものばかりとなったのは偶然ではないと思う。